子どもの頃、自転車に乗れるようになった日のことを覚えていますか。
後ろで支えてもらいながら、ふらふらとペダルをこいだこと。気がつけばひとりで進めるようになり、それまでより少し遠い公園や友達の家まで行けるようになったこと。
自転車は、多くの人にとって「子どもの頃に覚えるもの」というイメージが強い乗り物です。
その一方で、大人になるにつれて自転車に乗らなくなった人もいれば、「実はこれまで一度も乗れるようにならなかった」という人もいます。
子どものうちに乗れるようになっておかなければいけないのでしょうか。
今回は、大人が自転車から離れていく背景や、大人になってから自転車を始める方法、そして子どもの頃とは少し違う“大人の自転車の楽しみ方”を考えてみます。
なぜ「自転車=子どもの頃に覚えるもの」なのだろう?

自転車との最初の出会いは、幼少期だったという人が多いのではないでしょうか。
三輪車やキックバイクから始まり、補助輪付きの自転車へ。そして、いつか補助輪を外して練習する。
自分の力だけでそれまでより遠くへ行けるようになる自転車は、子どもにとって行動範囲を大きく広げてくれる存在です。
2018年に日本トイザらスが20~59歳の男女1,638人を対象に実施した調査では、子どもの「自転車デビュー」の平均年齢は4.9歳と報告されています。
幼い頃から自転車に触れる人が多いからこそ、いつの間にか私たちの中に「自転車は子どもの頃に練習して乗れるようになるもの」という感覚ができているのかもしれません。
けれど、当然ながら全員が同じタイミングで自転車を経験するわけではありません。
同じ調査では、回答者の1.4%が「自転車に乗ることができない」と回答しています。決して大きな割合ではありませんが、「大人なら誰でも自転車に乗れる」というわけでもないのです。
大人になると、自転車から離れていく理由

子どもの頃は毎日のように乗っていたのに、気づけば何年も自転車に乗っていない。そんな人も珍しくありません。
「最後に自転車に乗ったのはいつだろう?」と考えてみると、思っていた以上に時間が空いている人もいるのではないでしょうか。
理由のひとつは、生活環境の変化です。学生時代には通学や友人との移動に自転車を使っていても、社会人になると電車やバス、自動車など、ほかの移動手段を選ぶ機会が増えていきます。
都市部なら鉄道やバスだけで生活できることもありますし、地域によっては自動車が日常の移動の中心になることもあります。
心当たりはありませんか?大人になると増える「乗らない理由」
- 通勤時の服装や汗、髪型が気になる
- 荷物を持って移動する機会が増える
- 自宅や駅、目的地に駐輪スペースがない
- 電車やバス、自動車で十分に移動できる
- 自転車を所有・管理する手間を感じる
つまり、大人が自転車に乗らなくなるのは、単純に「自転車に興味がなくなったから」とは限りません。
子どもの頃とは違う生活の中で、自転車との距離が自然と離れていった人も多いのではないでしょうか。
「大人になってから練習するのは恥ずかしい」が、始めにくさをつくっている

自転車に乗った経験がない人には、生活環境とは別のハードルがあります。
それが、「今さら練習するのは恥ずかしい」という気持ちです。
公園でふらふらしながら自転車を練習していたら、周囲からどう見られるだろう。子どもでも乗っているのに、自分だけできない。そんなふうに考えてしまえば、興味はあっても最初の一歩を踏み出しにくくなります。
けれど、自転車に乗ることは、年齢によって始める時期が決まっているものではありません。
子どもの頃に機会がなかった人が、大人になってから始めてもいい。しばらく乗っていなかった人が、もう一度練習してもいい。
それとも「久しぶり」ですか?
「できなかったことを克服する」と考えるより、自分の移動方法をひとつ増やしてみると考えると、少し見え方が変わるかもしれません。
初めて自転車に乗るなら、まず「こぐ」より「バランス」

では、大人になってから初めて自転車に挑戦する場合、どのように練習すればよいのでしょうか。
東京サイクリング協会が紹介している練習法では、最初からペダルをこぐのではなく、ペダルを外した自転車にまたがり、地面を蹴って進みながらバランスを取る方法が紹介されています。
補助輪や誰かに後ろを支えてもらうことから始めるのではなく、「自転車が進んでいる状態でバランスを取る感覚」を先に覚えるという考え方です。
サドルを低めに調整し、両足が地面にしっかり届く状態をつくります。
ペダルをこぐことより、まず前へ進む感覚に慣れます。
慣れてきたら、進んでいる間に少しだけ両足を地面から離し、バランスを取ってみます。
「進めること」と同じくらい「安全に止まれること」も重要です。ブレーキの効き方を確認します。
バランスを保てるようになったら、ペダルを使って走る練習へ進みます。
練習する場所も大切
練習場所は、平坦で広く、障害物や人通りの少ない場所を選びましょう。道路や歩行者の多い場所ではなく、自転車の練習が認められている交通公園など、安全を確保できる場所がおすすめです。
少し進めた。昨日よりバランスが取れた。そんな小さな変化を楽しみながら練習していきましょう。
久しぶりに自転車に乗る人は?
子どもの頃には乗れていたという人なら、最初からペダルを外す必要はありません。まずはサドルの高さやブレーキ、タイヤの状態を確認し、人や車の少ない安全な場所で、ゆっくり走る感覚を取り戻してみましょう。
長期間使っていなかった自転車は、タイヤやブレーキなどが劣化している場合もあります。乗る前に自転車店などで点検してもらうと安心です。
乗れるようになった先にあるのは「移動」だけじゃない

自転車に乗れるようになるメリットというと、「移動が便利になる」「運動する機会が増える」といったことを想像するかもしれません。
もちろん、それも自転車の魅力です。でも、HaNeRiでぜひ伝えたいのは、それだけではありません。
いつもの街の“見え方”が少し変わります。
目的地を決めず、気になる道をゆっくり走る「ポタリング」なら、速さや距離を競う必要もありません。
- お気に入りのカフェまで走ってみる
- 写真を撮りながら知らない道へ曲がってみる
- 旅先で自転車を借り、地域をゆっくり巡ってみる
子どもの頃は「遠くへ行けること」がうれしかった自転車も、大人になると「途中を楽しめること」が魅力になるのかもしれません。
久しぶりに乗るなら、交通ルールも“今”にアップデート

子どもの頃に覚えた乗り方は変わらなくても、交通ルールや制度は変わっています。久しぶりに自転車に乗る人ほど、出かける前に一度確認しておきたいところです。
自転車は道路交通法上、「軽車両」に位置づけられています。
「自転車だから多少は大丈夫」ではなく、自転車も道路を利用する“車のなかま”として、安全に走ることが求められています。
あらためて確認したい「自転車安全利用五則」
- 車道が原則、左側を通行。歩道は例外で、歩行者を優先
- 交差点では信号と一時停止を守って安全確認
- 夜間はライトを点灯
- 飲酒運転は禁止
- ヘルメットを着用
2023年4月からは、すべての自転車利用者について乗車用ヘルメット着用が努力義務となっています。
久しぶりに乗る人も、初めて練習する人も、「乗れるようになること」と一緒に「安全に走れるようになること」を大切にしたいですね。
自転車は、何歳からでも付き合い直せる
「自転車に最後に乗ったのはいつだろう?」
そう聞かれて、すぐに答えられない人もいるかもしれません。あるいは、これまで一度も乗れたことがなく、「自分には関係のない乗り物」と思っていた人もいるでしょう。
でも、自転車は子どもの頃に覚えて終わるものではありません。
- 通勤や買い物に使ってもいい
- 運動として楽しんでもいい
- 旅先の移動手段にしてもいい
- 近所をゆっくり散策するだけでもいい
- 大人になってから初めて乗ってもいい
子どもの頃、自転車が行動範囲を広げてくれたように、大人になった今も、自転車はいつもの生活から少しだけ外へ連れ出してくれる乗り物です。
いつもなら電車や車で通り過ぎている場所を、自転車でゆっくり走ってみるとしたら。
あなたは、どこへ行ってみたいですか?
「少し走ってみようかな」と思ったら、まずは近所からでも十分。慣れてきたら、今まで行ったことのない地域へ、自転車で出かけてみるのもおすすめです。
次に走る場所を、SEEKCROWで探してみませんか?
SEEKCROW(シークロウ)では、地域のスポットやサイクリングコースを見ながら、自転車で巡る旅を楽しめます。「次はどこを走ろう?」と思ったとき、新しい地域との出会いを探してみてください。




