自転車とは?定義と交通ルール、2026年導入に向けた自転車青切符について紹介

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コロナ禍や政府による第2次自転車活用推進計画が閣議決定などをきっかけに、今後、自転車利用の増加が見込まれます。

社会環境や情勢の変化に応じて道路交通法は改正され、自転車に関する交通ルールも変更されていきます。情報内容を理解しておかなければ、気づかないうちに違反してしまうこともあり得ます。

本記事では、道路交通法における自転車の定義、通行の際に知っておきたい交通ルール、今後新たに導入される自転車への青切符について紹介します。

目次

「自転車」の定義とは?

「自転車」と言っても、さまざまな車体形式やサイズが存在します。自身が利用する自転車が「普通自転車」か「普通自転車以外の自転車」のどちらに該当するかを確認しておくことは、道路交通法上に則って走行するうえで重要です。

普通自転車と普通自転車以外の自転車

自転車は、道路交通法上は「軽車両」です。そして、その自転車の中で車体の大きさ及び構造が内閣府令で定める基準に適合する自転車で他の車両をけん引していないものは「普通自転車」とされます。

内閣府令で定める基準に適合する自転車

車体の大きさ
長さ 190センチメートル以内
幅 60センチメートル以内

車体の構造
4輪以下であること。
側車をつけていないこと。(補助輪は除く)
運転者以外の乗車装置を備えていないこと。(幼児用乗車装置を除く)
ブレーキが、走行中容易に操作できる位置にあること。
歩行者に危害を及ぼすおそれがある鋭利な突出部がないこと。

なお、身体障がい者用の車いすや歩行補助車は「自転車」に含まれません。

参考:警視庁「自転車の交通ルール」

マウンテンバイクも基準に適合すれば「普通自転車」

道路交通法上、自転車は軽車両と位置づけられているため、歩道と車道が区別されている場所では車道通行が原則です。

ただし普通自転車であれば、13歳未満の子どもや70歳以上の高齢者、身体の不自由な人が運転する際や、道路工事や連続した駐車車両などのために車道の左側部分を通行するのが困難な場所を通行する場合など、普通自転車の通行の安全を確保するためにやむを得ないと認められる場合などは例外的に歩道の通行が可能とされています。

通行場所を理解するうえで気を付けておきたいのは、「ママチャリは歩道通行可能」「クロスバイクやマウンテンバイクは車道通行」といった車種のタイプで分けられているのではなく、「普通自転車」か「普通自転車以外の自転車」かで分けられている点です。

上述の内閣府令で定める基準に適合していればマウンテンバイクであっても「普通自転車」として扱われ、歩道に「普通自転車歩道通行可」の標識などがあるときや、安全確保のためにやむを得ないと認められるときは歩道を走行することができます。

道路について

自転車用ナビラインがある道路

自転車走行の際は交通ルールに則って通行することが求められます。

しかし、実際は歩行者も利用する道が「サイクリングロード」と呼ばれて自転車専用の道と勘違いされてしまうケースもあります。自転車利用者は標識の意味を理解して、走行の際にしっかり確認することが必要です。

サイクリングロード=自転車専用道路ではない

サイクリングロードは車道と歩道の区別がない道路を指すことが多く、自転車専用ではなく歩行者も利用する場合があります。歩行者が利用する場合は歩行者が優先となるため、道路標識をしっかり確認して通行しましょう。

自転車専用道路

「(325の2)特定小型電動付自転車・自転車専用」の道路標識がある道路
普通自転車以外の車と歩行者は通行できない
幅員は3メートル以上(やむを得ない場合は2.5メートル以上)

自転車歩行者専用道路

「(325の3)普通自転車等及び歩行者等専用」の道路標識がある道路
普通自転車と歩行者以外は通行できない
幅員は4メートル以上

普通自転車専用通行帯

「(327の4の2)普通自転車 専用通行帯」の道路標識がある通行帯
普通自転車専用通行帯が設けられている場所では、普通自転車は専用通行帯上を通行しなければならない

参考:国土交通省「道路標識等」

自転車ナビマーク・自転車ナビライン

自転車ナビマーク・自転車ナビラインの例

自転車が通行すべき部分及び進行すべき方向を、自転車運転者及び自動車ドライバーに対して明示することを目的として設置されており、交通方法や罰則を定めた道路標示ではありません。法令上、「自転車優先」のような自転車を保護する意味は有しません。
なお、自転車ナビマーク・自転車ナビラインいずれの場合も自転車は矢印の向きに進行する必要があり、逆走は禁止されています。

参考:警察庁「自転車ナビマーク・自転車ナビライン」

自転車の交通違反への取締り

赤切符(交通切符告知票)

記事執筆時の2024年1月現在では従来通り、酒酔い運転・ひき逃げなどの特に悪質で危険な違反行為は赤切符で摘発されます。

反則金を納付しても刑事裁判を回避することはできず、正式起訴または略式起訴が行われます。刑事裁判で有罪判決を受けると前科がつき、その後の生活にも大きな影響が出る可能性があります。

青切符(交通反則告知書)

記事執筆時の2024年1月現在、自動車と原動機付自転車が対象で自転車は対象外となっている交通反則通告制度が存在します。

交通反則通告制度

運転者が反則行為(比較的軽微な道路交通法違反行為)をした場合、一定期間内に反則金を納めると、刑事裁判や家庭裁判所の審判を受けないで事件が処理される制度

交通反則通告制度で反則告知をする際に渡される「交通反則告知書」は通称「青切符」と呼ばれ、下記のように扱われます。

反則行為をして警察官から反則告知を受けた場合、「交通反則告知書」(青キップ)と「納付書」を渡されます。

交通反則通告制度の適用を受けるか拒否するかは、違反をした方が選択することとなります。
また、反則告知の際に警察官が供述書欄に署名・押印(指印)を求めますが、これは強制するものではありません。

渡された「納付書」により納付期限内に反則金を金融機関で納付した場合は、刑事事件として刑罰が科されなくなります。未成年者の場合は、家庭裁判所の審判に付されなくなります。

引用:警察庁「交通反則通告制度」

2023年12月、警察庁はこれまで赤切符で対応していた一部の違反行為を交通反則通告制度(青切符)で摘発し、その対象に自転車を追加する道路交通法改正案を2024年の通常国会に提出する方針を明らかにしました。

その後2024年3月に改正案が閣議決定され、青切符による自転車の取締りは112の違反行為が対象で、適用年齢は16歳以上とされています。国会で審議され成立すれば、公布から2年以内に施行されます。(※2024年3月追記)

改正される背景として、赤切符では刑事手続きに多くの時間かかるため、警察と違反者への負担が課題となっていました。

そこで、迅速に手続きを進める効果的な対応として交通反則通告制度を自転車にも適用し、早ければ2026年に自転車への反則金が導入される見通しです。

参考:毎日新聞社「自転車に「青切符」導入へ 16歳以上、指導・警告に従わないと摘発」
参考:日本経済新聞社「自転車反則金、26年にも導入 信号無視5000~6000円想定」
参考:NHK「「青切符」反則金も 自転車の悪質違反に 16歳以上に適用 道路交通法改正案 閣議決定」
参考:内閣法制局「法律ができるまで」

「青切符」の対象となる違反の一部

信号無視
一時不停止
逆走(通行区分違反)
(例外的に通行できる場合でも)歩道を徐行しない
通行が禁止されている場所の通行
携帯電話を使いながらの運転
傘を差しながらの運転

参考:NHK「自転車「青切符」導入へ 反則金は5000円から1万2000円程度想定」

イエローカード(自転車指導警告カード)

黄色い用紙に違反の内容が記載されたもので、軽微な違反をした人に渡されます。注意を喚起するために交付する書面ですが、検挙はされません。また、交付された場合も自転車運転者講習の対象にはなりません。

まとめ

本記事では「自転車」に関する情報を、そもそもの定義と合わせて紹介しました。

多くの人にとって身近な乗り物である自転車ですが、近年事故発生件数は増加しており、そのルールやマナーなどが再度注目されています。

利用者の状況や課題に合わせて法律も新しくなっていくため、こまめに情報収取をしていく必要があります。ぜひ、アンテナを張るようにしてください。

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