台湾1周約1000kmの距離は、自転車を使って10日間で巡ることが可能です。本記事では前半5日間、台北から車城までの477kmのルートをご紹介します。沿道には歴史ある寺院や活気あふれる街並み、雄大な自然が織りなす絶景が続きます。それでは、各区間のルートと見どころとなる観光スポットをご案内していきます。
なお、本文は以下の資料を参照して作成しています。
台北市交通部観光局「台湾1周サイクリングガイド」
台湾におけるサイクルツーリズムの取り組みについて知りたい方は、以下の記事もご覧ください
1日目:台北~新竹(81km)

まずは台北の都会的な景色を後にし、歴史と自然が織りなす道のりへ。台3号線を南下し、県道118号線へと進みます。緩やかな山岳地帯では、涼やかな風を感じながら心地よいペダリングを楽しめます。道中で立ち寄る三峡では、古(いにしえ)の時代へタイムスリップしたような気分を味わえるでしょう。途中の休憩ポイントでは、台湾ならではのスイーツで一息。ゆっくりと景色を楽しみながら、新竹を目指しましょう。
ルート
台北 > 三峡 > 大溪老街 > 石門 > 関西城隍廟 > 新竹
観光スポット
三峡老街
台湾に残る貴重な歴史的建造物が集まる通りです。赤レンガの建物が連なり、伝統的な建築様式を今に伝えています。通りには地元のお店が立ち並び、台湾茶や伝統工芸品を扱う商店で、ゆっくりとショッピングを楽しめます。地元の人々の日常生活と観光が見事に調和した、活気ある街並みが魅力です。
石門ダム
雄大な山々に囲まれた石門ダムは、四季折々の表情を見せてくれます。春には桜が咲き誇り、夏には深い緑に包まれます。湖畔には遊歩道が整備されているので、のんびりと散策を楽しめるでしょう。ダムの規模を間近で感じられる展望台からの眺めは、訪れる人々の心を癒してくれます。
2日目:新竹~台中(100km)

海からの風を受けながら、西海岸を南下していきます。台61号線沿いには、風力発電の風車が立ち並び、爽快な景色が広がります。時には向かい風と戦いながらも、大肚山の頂上を目指しましょう。登り切った先には、文化都市・台中での素敵な出会いが待っているはずです。
ルート
新竹 > 竹南 > 後龍 > 通霄 > 員林 > 大甲 > 清水 > 沙鹿 > 台中
観光スポット
鎮瀾宮
大甲の街のシンボル的存在である寺院です。装飾の美しい建築は必見ですが、何より現地の人々の信仰の深さに心打たれます。毎年春に行われる媽祖祭りでは、何キロにも及ぶ巡礼の列が街を埋め尽くし、台湾の伝統文化の力強さを感じられるでしょう。
南庄老街
時が止まったかのような静けさが漂う街並み。日本統治時代の面影を残す郵便局や、客家の伝統的な建築が独特の景観を作り出しています。地元の人々が営む食堂では、手作りの客家料理を味わうことができ、台湾の食文化を体験できます。
3日目:台中~嘉義(94km)

街の喧騒を抜けると、のどかな田園風景が広がります。アップダウンの少ない快適なルートですが、交通量の多い台1号線では安全に注意が必要です。また、カメラは手元に用意しておきましょう。道中には写真に収めたくなる美しい景色が次々と現れます。
ルート
台中 > 彰化 > 員林 > 北斗 > 西螺 > 斗南 > 民雄 > 嘉義
観光スポット
天空歩道(スカイウォーク)
八卦山天空歩道は、地上約3階分の高さで八卦路と交差しており、その美しく個性的なデザインが特徴です。大仏像エリアの新たな見どころとして人気です。
日月潭ロープウェイ
山々の間を縫うように走る空中の散歩道。地上約1000メートルからは、エメラルドグリーンに輝く湖面と周囲の山々が織りなす絶景が広がります。澄んだ空気と爽やかな風を感じながら、大自然のパノラマを満喫できます。ゴンドラの床は透明になっており、スリル満点の空中散歩を楽しめるでしょう。
4日目:嘉義~高雄(115km)

台湾西部の大動脈、台1号線に沿って南下する4日目のルート。歴史と伝統が息づく台南を経て、近代的な港町・高雄へと向かいます。日が高くなるにつれて気温も上昇しますが、道中で出会う人々の温かな笑顔に、疲れも吹き飛びます。台湾らしい人情味あふれる交流を楽しみながら、ペダルを漕ぎましょう。
ルート
嘉義 > 新営 > 善化 > 台南市 > 岡山 > 高雄市
観光スポット
愛河
高雄の心臓部を流れる川は、市民の憩いの場として親しまれています。川沿いには遊歩道が整備され、カフェやアート施設が点在。特に夕暮れ時には、水面に映る街の灯りと行き交う人々の笑顔が、都会的でありながら温かみのある雰囲気を作り出しています。
烏山頭ダム風景区
ダムの周辺には広大な公園が整備され、歴史的な建造物や機械類が野外博物館のように展示されています。技術の進歩と人々の暮らしの変遷を感じられる貴重な場所で、湖畔では心地よい風を感じながらピクニックを楽しむこともできます。
5日目:高雄~車城(87km)

いよいよ台湾最南端へと向かう道のり。台17号線では太平洋からの潮風を感じながら、青い海と緑の山々に囲まれたサイクリングを楽しめます。途中の峠越えはややハードですが、ゆっくりと確実に進めば問題ありません。長旅の疲れを癒やす温泉街・車城では、達成感と共に心地よい休息のひとときを過ごせるでしょう。
ルート
高雄市 > 小港 > 東港 > 枋寮 > 枋山 > 車城
観光スポット
タロコパーク
サイクリストの疲れを癒やすための理想的な複合施設。カフェやレストランでの食事はもちろん、スポーツ施設やエンターテイメント施設も充実しています。長時間の運動後のリフレッシュに最適で、台湾の最新のレジャー文化も体験できる新しいタイプの商業施設です。
東隆宮
荘厳な中にも親しみやすさを感じる寺院です。伝統的な建築様式を基調としながら、現代的なデザインが取り入れられた内装は必見。参拝客だけでなく、建築ファンの間でも話題のスポットです。境内では、地元の人々の日常的な信仰の様子も垣間見えます。
まとめ|台湾1周サイクリングのルートガイド(前編)を紹介しました
台北から車城まで、約477kmの5日間の旅の前半戦。台湾の西海岸に沿って南下するこのルートでは、歴史ある街並みから近代的な都市まで、様々な表情を持つ台湾の魅力に触れられます。時には向かい風に苦戦し、時には峠越えに汗を流しながらも、道中で出会う地元の人々の温かな笑顔と、心に刻まれる絶景の数々が、きっとあなたの心を癒してくれることでしょう。
後編(6~10日目)では、車城から台東、花蓮を経て台北へと戻る東海岸ルートをご紹介します。台湾一周の旅は、ここからが後半戦。ぜひ後編もご覧ください。