サイクルツーリズム推進の課題は?解決のヒントと合わせて紹介

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コラム「サイクルツーリズムとは?楽しみ方やメリット、自治体の取り組みなどを紹介」では、自転車を利用した観光の楽しみ方やメリットを紹介しました。

今回はサイクルツーリズムに関連する課題を考えてみたいと思います。

このような方におすすめ
・サイクルツーリズムを推進しようとしている自治体担当者
・サイクルツーリズムを企画している観光事業者

目次

サイクルツーリズムの魅力とは?

観光地を自転車(E-BIKE)で巡ることは、車や徒歩で回るときとは違った魅力があります。その魅力について考えてみます。

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中規模エリアでの行動

自転車はちょうど自動車と徒歩の中間の距離(半径15km程度)を巡ることができます。そのため有名観光地以外のさまざまな場所にも立ち寄ってもらえるチャンスが生まれ、エリア内の今まで知られていなかった新たな魅力を発掘してもらう機会にもなります。

また、中規模の限定的なエリアでの行動になると想定できるので、受入側も周遊プランを提案しやすいというメリットがあります。

見える景色が違う

自動車に乗りながら見る景色と、自転車で走行しながら見る景色は大きく異なります。自動車の場合は、停車してからでないとゆっくりと景色を味わえません。

自転車であれば、気になる場所があればすぐに止まってスマートフォンで写真を撮ることができます。また、施設に立ち寄る際に駐車場を気にする必要もありません。

達成感と充実感

自転車で走ることは、適度な運動になります。風を感じながら走るとその地域にいる実感もわいてきます。また、CO₂を排出しない移動手段を選んでいるという、環境への貢献も感じられるのではないでしょうか。

誰向けのサイクルツーリズムか?

サイクリング

サイクルツーリズムの推進にあたり、どんな人をターゲットにしていますか。

多くのサイクルイベントの企画は中級者以上のサイクリストを対象にしていることが多いです。つまり、自転車を使った観光というよりは、特定の地域で自転車に乗ることを主な目的としたものが中心です。

これはスポーツイベントの一環としてはよいかもしれませんが、観光の視点ではどうでしょうか。観光を目的に訪れる人には多種多様なニーズがあります。例えば、「美味しいものを食べたい」「たくさんの美しい景色を見たい」「温泉に入りたい」など。または、少しニッチなところで「神社を巡って御朱印を集める」「地域のサウナを巡る」「昭和の街並みを写真に収める」「アニメの舞台になった聖地を巡礼する」など、その目的はさまざまです。

つまり、視点を“自転車に乗ること”ではなく、“自転車で観光する”に変える必要があります。すなわち、サイクルツーリズムとは、“その地域に行って自転車に乗ること”ではなく、“自転車に乗ってその地域で観光すること”ではないでしょうか。

観光地でレンタル/シェアサイクルを借りて感じること

シェアサイクル

近年はさまざまな観光地でレンタルサイクルやシェアサイクルを実施する自治体が増えています。しかし、多くの課題もあります。

借りる場所が分かりにくい

大都市圏のシェアサイクルは大手キャリアが運営しているため、スマホアプリから簡単に貸出/返却の場所を確認できます。一方、地方では自治体や観光協会などが管理運営を行っているケースが多く、レンタサイクルを案内する手段も、役所のホームページ、観光協会管轄のWebコンテンツ、レンタサイクルの運営を行う法人のチラシなど、さまざまです。

そのため、自転車をレンタルしたくてもうまく情報に辿り着けず、途中で挫折してしまうこともあります。

収益の問題

シェアサイクルやレンタルサイクルにおいては、レンタル料金に対して管理や運営に関するコストが割高になる傾向があります。

シェアサイクルの場合、借りた場所と返す場所が異なるため、自転車をトラックなどで移動し、再配置を行っています。業者によっては返す場所の台数を限定していることもありますが、その場合、利用者が目的地で返せないといったデメリットもあります。レンタルサイクルにおいてもメンテナンス費用だけではなく、人件費も課題となります。

どこへ行けばいいか分からない

観光がしたくても、どのスポットをどのようなルートで回ればよいかが分からないケースもあります。特にシェアサイクルの場合は近くに聞ける人がいません。

レンタルサイクルの場合は貸出の際に係の人に聞いたり、観光マップをもらうことができます。しかし、これらも現地の人が勧めるルートであり、おすすめされるスポットの大半は大衆に人気がある場所です。個人の嗜好に合わせた提案とまではいえず、一度体験すると満足し、その後のリピートはあまり期待できません。

どうすれば自転車を利用してもらえるか?

自転車に取り付けている液晶画面

多くの観光地がレンタルサイクル用の自転車を保持していますが、残念ながらあまり有効に利用されていないケースも見受けられます。せっかく1台数十万円もするE-BIKEを何台も購入したのに、使われずに埃をかぶっているのは勿体ないですね。

この章では、ここまで述べてきた課題に対する解決方法を考えてみます。

多様な観光客のニーズに応える

現地の方が勧める一般的に有名な観光スポットだけではなく、ニッチな観光ニーズも考えましょう。現地の人が普段見ているあたり前の風景でも、地域外から来た人にとっては非日常的な風景として映ります。

近年はインバウンドで外国人観光客も増加しています。地元で暮らす人や日本人からすると平凡でも、海外からの観光客にとっては非常に魅力的に感じられる場所があります。外国人観光客が撮影した1枚の写真がSNSで話題になり、多くの人がそこに訪れるようになったという現象も多くみられます。

リピーターやファンづくり

同じ観光名所を何度も訪れる旅行者は稀です。地域への再訪を促すためには、地元の人との交流や穴場スポットの発掘といった体験価値やゲーム性を高めるのも有効です。

観光列車の通過や停車に合わせて住民が乗客たちに手を振ってくれるおもてなしを実施している地域がありますが、そのような地元の人から歓迎されていると感じる体験も、観光客にとっては忘れられない思い出になります。

デジタルで情報を提供する

観光案内に際して、チラシやリーフレットといった紙ベースで情報提供されることが多くあります。紙でしか案内がされていない場合、観光客は現地に行かないと情報が入手できず、事前に旅行プランを立てることが難しくなります。

また、紙の案内ツールを制作する場合はコストや配布場所などの関係もあり、大量に作ることができません。この点も有名観光地に案内が偏る原因のひとつです。

デジタルコンテンツ(Webコンテンツやアプリ)などを活用すれば、多くの情報を幅広い対象に提供することができます。

デジタル情報を応用する

いざデジタルで情報を提供しようとする際、企画や実施にあたって必要なデータを受入側が全て収集してまとめるのは大変です。

自転車を使って観光した人から「どんなタイプの人が、どんな所に行って、どんなことをしたか?」「何を楽しんだか?」といったデータを取得できれば、新たな観光客の誘致や、地域の人が気づかなかった観光地や新コースの提案にも利用できます。

まとめ

日本には自然豊かで美しい場所が無数に存在します。自然だけではなく、アニメをはじめとしたサブカルチャーや寺社仏閣など文化的に価値の高いコンテンツもたくさんあります。このようなコンテンツは地域の人も気づかない宝として全国各地に隠れています。E-BIKEを使って、地域にあるお宝コンテンツを発掘しましょう!

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