東京サイクルデザイン卒業制作展 訪問レポート

2026年3月6日(金)から8日(日)にかけて、東京・渋谷の青山校舎で開催された東京サイクルデザイン専門学校(TCD)の卒業制作展 卒祭2026 を訪問しました。学生さんたちの集大成となる個性豊かなハンドメイドバイクが揃う本イベントの様子と、同校とHaNeRiのアプリSEEKCROWとの連携についてレポートします。

1. 東京サイクルデザイン専門学校(TCD)は日本初の自転車専門学校

TCDは、日本初の自転車を学ぶ専門教育機関として設立されました。自転車業界を牽引する人材を育成するため、自転車に関わるメンテナンス製作設計・デザインの3つの柱を軸とした、実践的なカリキュラムが用意されています。クラスは15名前後の少人数制で、質の高い授業環境が整えられています。

期間に応じて自転車スタンダードコース(2年制)、自転車クリエーションコース(3年制)、自転車アドバンスドコース(4年制)などの専門課程があり、学生たちはフレームの溶接技術やCADを使った設計、さらにカーボンやチタンといった新素材の研究まで、本格的な技術を基礎から高度なレベルまで学びます。

2. TCDのライド実習 と 観光アプリ SEEKCROW の連携

TCDの大きな特徴の一つは、モノづくりの技術だけでなく、自転車に乗るライドの魅力まで総合的に学べる点です。カリキュラムには、近郊ライドからトレイル体験、バンク走行などを行うライド&フィールド実習が組み込まれており、学生さんたちは自ら走ることで、自転車開発のアイデアを培っています。

この実習で、HaNeRiが提供する、地域の観光ルートをシェアできるSNSライクなアプリSEEKCROWをご活用いただいています。昨年10月に実施されたライドウィークでは、学生の皆さんにSEEKCROWを使っていただきました。自身で走ったコースのGPSデータや、ライド中に撮影した地域のスポット写真をアプリに記録・メモし、その内容を事後に発表するというテーマで活用いただき、ルート造成や体験共有のツールとして役立ててもらいました。

3. 卒祭2026で見つけた!自転車活用の新たなスタイル

今回の卒祭2026は、学生さんたちが半年間かけて、設計から製作までを自ら手がけた卒業制作作品の発表の場です。会場には、クラシカルなラグフレームから、現代的な設計思想を反映したモデルまで、若きビルダーたちの多様な作品が並んでいました。

王道のスポーツバイクの美しさにも目を奪われましたが、今回はHaNeRiのコンセプトでもある自転車活用の新たなスタイルという視点で捉え、特に気になったコンセプトモデルカテゴリーの3台をご紹介します。

C-Nexus(本田貴士さん作)
電気を使わず、走行中の運動エネルギーを再利用するというユニークな発想の、機械式アシストコミューターバイクです。下り坂などで得たエネルギーを車体中央のフライホイールと下部のラチェットホイールに蓄積し、信号待ちからの発進時などに加速として放出できる構造を採用しており、機械式の回生システムといったところです。電動アシストとは異なるアプローチによる、エコな次世代モビリティとして、学生ならではの自由な発想が光る実験的な一台でした。

CYCLOADER(加藤大夢さん作)
「自転車で運べるモノの範囲を広げる」という発想から生まれた、物流用途を想定した大型のカーゴバイクです。前方に操舵・駆動系をまとめ、後方を大きな積載スペースとしたうえで、前後ユニットを分離し、用途に応じて荷台を交換できるモジュール構造を採用しています。実験では6人の人を乗せても問題なく走行ができたとの事です。ヤマハ発動機販売による金樹賞をはじめ、3つの賞を獲得しており、物流などの社会課題を解決する可能性を秘めた頼もしい作品です。


ivy(黒田琉仁さん作)
「拡張性」をテーマに、クラシックなキャンピング自転車の思想を小径車(ミニベロ)として再構築したモデルです。日常の移動からツーリング、自転車キャンプまで、幅広い用途を想定して設計されています。特筆すべきはフレームの美しいラグで、既製品ではなく無垢のブランク材から、すべて手作業で削り出して作られています。実用性と、ハンドメイドならではの伝統的で美しい造形を兼ね備えた一台でした。

4. まとめ
単に自転車というモノを作るだけでなく、学生さんたちの柔軟で多様なアイデアによって、社会課題へのアプローチやエネルギーの再利用といった自転車活用の新たなスタイルまで創造しているTCD。展示の熱量に圧倒され、大いに刺激を受けました。

HaNeRiでは今後も、SEEKCROWなどのアプリ活用やサイクルツーリズムの視点から、TCDとさまざまなコラボレーションを行っていきたいと考えています。。

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